フェアレディZ 俺の嫁の嫁に





正確にはタイトルと多少事実が異なりますが、今回はえみちゃんのネタではありません。



2013年10月
ヤツはやってきた!!




ちょっとぽっちゃりな顔つきにどっしりとした重厚感。
日産が誇る伝統の系譜、その名もフェアレディZ。

じつはばろんの彼女が以前から欲しがってた一台なのですが、とうとう買ってしまいましたw

購入したのはZ33の初期型、ベースグレードです。走行距離もかなり飛んでるし、オイル漏れ+エンジンチェックランプ点灯。
3500ccの6速マニュアル。果たして足が届くのか!?

実はこの一見不人気に思える一台。ここにフェアレディZ33の穴場があります。

ベースグレードなんか装備ついてねーしダメじゃん!と思われがちですが、Z33の車重は「およそ1500kg」
このおよその部分がとても重要な意味を持ちます。

車検の時の金額を大きく左右する重量税。500kg毎に金額が加算されていきます。

例えば2015年現在(この記事を書いている時)。
ガソリン車で車重が1000kg未満の普通車、パッソなんかは年式にもよりますが、13年落ちまでは16400円。
1000kg〜1500kgまで(カローラとかインプレッサ等)は24600円。
そして1501kg〜2000kgでは32800円。
という感じに2年ごとに受けなければならない車検で重量というのはとても痛手になる場合が・・・

前述した通りZ33の車重は「およそ1500kg」

座席がモーターで動くパワーシートなどがついている場合、ノーマルのシートより30kg近く重くなる場合があります。
ちなみに後期型Z33は前期よりも重くなっていて、中古で新規車検を受けるとなれば下手をすれば1500kgを越える確率が非常に高い(というか低くなるほうが稀)
それに比べて後期よりも軽く、なおかつ余計な装備が一切省かれたベースグレードは重くても1480kg程度にしかならず、重量税というカテゴリーに絞れば大きなアドバンテージになります。
これが前期のベースグレードが穴場という意味です。

彼女曰く、前期型のベースグレードとバージョンSなら多分オッケーとの事。やたらと重いナビやらウーファやらが取外せない場合などを除いては1500kgを越える事はないでしょう。
バージョンTはパワーシート等が標準らしく、1500kgを切るにはちょっとダイエットが必要になってきます。
カーボンボンネットやナビ取り外し、外せるもんは全部外して、シートも左右フルバケにすれば安くなるかもw





オークションで仕入れてきた当時の内装がこちら。
いかにもスポーツカーっぽい内装ですねー。でもちょっとくさっ!前のオーナーくさっ!




今回買ったのは内装も外装もほぼフルノーマル。ホイールすらもノーマル。いっぱいへっこみやら傷があるのでまずは板金屋さんへ。






そして何故かフロントにリップスポイラーが付き・・・



いつの間にかリアアンダースポイラーが付きまして。。

いっぺんに派手な車になってしまいましたw
ちなみにばろんはノータッチですよ。本人のチョイスしたエアロパーツです。


なかなかエクステリアがシャキっとしたのでそれに負けない内装にしないといけません。
そんなわけで・・・
くさっ!な内装を完全にクリーンにしていきます。


とりあえず外せるもんは全部外して部品一つ一つキレイに清掃していきます。
フロアカーペットは洗剤で洗濯し、柔軟剤の中に付けてから影干し。仕上げにクレベリンで完全滅菌!完璧。
その間にプラスチックの内装などの汚れを取り、可能な限り洗浄していきます。



清掃と同時進行でサウンドカスタマイズも施していきます。
せっかく剥がしたフロアカーペット。足元の共振しそうな部分にレジェトレックス(制振シート)を貼っておきます。
内装剥がしてるうちに気付きましたが、前のオーナーがアンプの電源をバッテリーから引っ張っていた痕跡があったので電源だけそのまま使わせてもらいました。どうやら少しオーディオをいじってたみたいですね。

シートの後ろにある丸い穴はオプションのウーファが付く場所みたいです。ウーファはいらないのであの穴の中にアンプを隠して取り付けます。
助手席側の四角い穴はグローブボックスなので配線ぐらいしか隠せません。



まぁ、そんなこんなで内装の布製品をあらかた洗濯して干して乾かしているうちに本格的にサウンドチューニングに取り掛かっていきます。




ドアの内張りを外したとこ。
バッフル板が既に付いてました。軽めにデッドニングしてあるなー。
バッフルと鉄板の間に制振材を挟んでくれちゃってるのでマジ勘弁なんですが。。。まぁ仕方ないでしょう。


新たにアウターパネルにもデッドニングを施し、インナーパネルにも追加で制振。
そしてわたくしの自腹で新品のアルパインのスピーカーをインストール。納車祝いってやつです。



セパレートスピーカーなのでツイーターも設置していきます。
ツイーターはAピラーに取り付け。



彼女のナビにはタイムアライメントはないので、リスニングポジションからドアスピーカーまでの距離を計測し、それと同じ距離になるようにツイーターの位置を決めて取り付けています。左右のアライメントは狂ったままになりますが、左右それぞれのドアスピーカーとツイーターの音が耳に届くタイミングは理論的には合うはずです。
ツイーターの向きはバックミラー辺りでクロスするように調整して設置。後はアンプだけです。

もちろんリアスピーカーなどという邪魔な物は取っ払い、はじめからフロントマルチのシステムで組んでいきます。
というわけでツイーターからアンプまでの配線の処理も内張りを取っ払っている間にやってしまいます。


アンプは当初、お客の下取りから外した妙なアンプをチョイスしましたが、すぐに調子が悪くなってしまったのでえみちゃんと同じカロッツェリアのGM-D7400に換装。
これもばろんのおごり♪わし太っ腹〜(・ε・)

ちなみにナビはサイノスから移植です。









内装はまだまだ乾かないのでその間に少し気になっていたエンジン廻りの点検に入ります。
すこーしオイル漏れが見受けられたのと、エンジンチェックランプの点灯の原因。

ダイアグノーシスの故障履歴をチェックするとどうやら点火系統の不具合。
まぁ日産なら間違いなくダイレクトイグニッションでしょー。32のフェアレディならダイレクトイグニッションもパワートランジスタも両方ありそうですが。

日産のイグニッションコイルもスズキのイグニッションコイルもHANSHINとかいうメーカーが作っていてよく壊れます。ほんとによく壊れます。
ヒドいスズキ車は新車から1年でクレームつけてディーラーに交換させた事もありましたなー。マジメに作ってんのかほんとに。
まぁ、製造元が同じって事は基本的な構造は一緒なんですなー。壊れやすいのも同じ。

こういうエンジンの気筒が一発死んでいる状況の事を自動車業界では単発と呼びます。

単発の場合、デンソー製の診断機「DST−2」にて気筒判別を行います。診断カプラーに挿し、指定した気筒の燃料噴射をカットするテストモ^−ドにてどの気筒のコイルが異常かを判断します。燃料噴射を止めたにも関わらずエンジンの振動や回転数の落ち込みが変化ない気筒が故障箇所と断定できます。今回は5番か2番のコイルだったような気がします。

適当に工場に転がってたスズキの軽自動車のイグニッションコイルをチョイスして付け替えたらチェックランプ消えました。
念のため抵抗値に大きな差がないかだけ調べましたが、似たような抵抗値だったのでしばらくこれでイケるでしょう。
イグニッションコイル終わり、次はオイル漏れ修理♪



上の画像はインテークマニホールドに当たる部品(インテークコレクター)と、エンジンヘッドカバー(タペットカバー)
ヘッドカバー左上らへんからぺろりーんと出ている謎のゴム。これがオイル漏れの元凶。ヘッドカバーとシリンダーヘッドの間に挟まっているシールゴムなのですが、酸化したオイルの影響やエンジンからの熱害によってゴムが劣化・硬化し、シールパッキンとしての昨日が失われて次第にオイルが漏れてくるようになってしまいます。

タペットカバーパッキンとかヘッドカバーガスケットとか呼ばれています。トヨタ車でも経年劣化でオイル漏れをよく引き起こす部位ではありますので、ゴム・プラスチック製品の耐久度が著しく低いニッサン車は要チェックです。

ちなみにこのZ33。タペットカバーのガスケットが漏れている場合、上に乗っかっているインテークコレクターを取外さないと辿り着けません。
ちなみにコレクターは画像の通り二つに分割します。吸気圧を漏らさないよう合わせ面に再使用不可のパッキンをこれまた使っております(-ω-)

しかも合わせ面プラス、各気筒の吸気ポートへの入り口との合わせ面のパッキンも使用しているため、ヘッドカバーガスケットを交換する為にインテークコレクターのガスケットのパッキンを毎回替えなければならないという不親切設計。
構造は単純で取り外しも容易なものの、再使用不可部品をスパークプラグやイグニッションコイルの上に置くのはどうかと思いますね。ホント。
故障を点検するにもできない構造な辺りが高級車なんでしょうかね。上から順番に外せば簡単に目的の部品に辿り着けるようになっているのはGoodですが。

これだからニッサンは。。。と言いたいところですが、このZ33のVQエンジンというのはニッサンの中でも屈指の名機だと思います。
よく走る、故障が比較的少ないところも整備士的観点から見ても素晴らしいと思います。



エンジン内部。
前述した吸気ポートへのガスケットもちらりと見えていますが、シリンダヘッド内部もアルミ製でなおかつとてもキレイ。

手前に映っているのはV型6気筒のうち左バンクの3気筒。吸気ポートを挟んで向こう側に見えるのが右バンクの3気筒。
直列3気筒を60度の角度で二つくっつけたような構造をしているのがV型の特徴です。余談ですが、ホンダのインスパイアは低負荷時に片側3気筒を休息させる機能なんかもありますね。


Zの内臓も見たところで(笑)部品を元に戻して納車準備完了♪
あとは納車をするばかり♪

で、もう一つ。最後の仕事です。





















出会いの数だけ別れがある。
ボロボロになりながらも一生懸命に走ってくれたサイノスと、これから彼女を守るべくあらわれたZとの世代交代の瞬間の一枚です。
オイル漏れ、足廻りの故障等を抱えながらまだまだ元気一杯に走り回ってくれた彼との別れは寂しい。
ばろん自信もこのクルマには失いかけていた情熱を取り戻させてくれた恩のような物を感じています。
ボロでパワーもないし、室内は狭いし足廻りもお世辞にも良いとは言えないこのクルマは、それでも一生懸命に共に走る悦びを伝えてくれた親友です。
まだ走ろうと思えば走れるサイノス。
Zに憧れ、いつか乗ってやろうと思っていた人を顔前にして、サイノスははじめから自ら身を引く覚悟を抱えながら、ばろんの彼女にこれからのクルマとの付き合い方、楽しさ、共に走る事の悦びを伝え、その役目をしっかり担ってから静かに自ら身を引く。何も語らずにZに全てを託して。そういうヤツでした。

彼女の前では平静を装っていたようですが、かつてサイノスが停まっていた駐車場にZが停まるようになり、サイノスはばろんの修理工場の片隅にしばらく置かれる事になります。
そして、ばろんとも最期の時。オークション会場に搬送する為の積載車が来る直前にばろんはサイノスのエンジンを掛けました。
いつものように初爆を経て安定するはずのアイドリング。しかし、その時だけは何故か回転がまったく安定しません。
あれ?と思って一度掛けなおし、確認するも通常始動。こんな事はサイノスとの付き合いの中ではただの一度もありません。

気丈に振舞っていたサイノス。最期の最期にホントの気持ちを教えてくれたような気がしました。
それがとても切なくてクルマってこんなにもヒトにとってかけがえの無い物なんだなと痛感した瞬間でした。



ナンバープレートを取外し、オークション会場へと搬送される直前のサイノス。
今まで本当にありがとう。お前は俺にクルマの悦びを取り戻してくれて、彼女に車のいろはをたくさん教えてくれたとても良いクルマです。
次のオーナーにもクルマ本来の楽しさ、共に走る事の悦びを伝えて行くのでしょう。

本当にお疲れ様でした。またどこかで会える日を楽しみにしています。

















悲しい別れとは裏腹に、またもZの話に戻りますが・・w



納車してまもなく。
ベースグレードのZにリアウイングが付きますw
彼女が憧れているというバージョンニスモの純正リアウイングです。
ウイングだけで左に居るえみちゃんの車輌価格を越えるという驚異的な値段のウイングです(笑)
なんかちょっとずつバージョンニスモ仕様にして行く計画とかなんとかw

似たモン同士仲良くやっていきますw
これから宜しく頼むぞ!Zちゃん。

二人とも2シーターになっちったw













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