甦れ!GTO!の巻






前回の激しいインスパイアとの戦いの終わりも束の間!
次なるターゲットは三菱GTO。

ばろんの友人が買う車であります。

見てくださいよこのギッチギチ具合。。。
手入る余地ねえじゃねーかー!!



三菱の3G63エンジンです。
シャリオグランディスとかディアマンテとかに載ってるエンジンですな。
このGTOのツインターボエンジンは当時としては最強のパワーを誇るハイパワーユニットです。NSXやらGT-Rより直線は速いんじゃないかなー。
タービンのレスポンスもかなり良い上、2500回転から最大トルクを発生する化け物エンジン。マジでどっからでも吹け上がっていきます。

壊れてない事を祈るばかり。




はい、お顔を拝見(^ω^)

ブルーメタリックのニクいやつです。
平成5年ぐらいの年式だった気がします。
中期のツインターボMRとかいうグレードです。

ツインターボでマニュアルでサンルーフ付きでこのヘッドライトで・・などと注文が多かったため当然タマ数は少なく、ようやく見つけたのがコレ。
予算があればもう少しいいのが買えたんだけどなー。
見た目はキレイに見えますが実はボロボロですwwww
安く買わなければならなかったので値段相応(言えないけど)のヒドい状態でしたが、時間と手間をかければきっとできるっ!
マトモな車になりますようにwww







まずはごらんの通りヘッドライトに水が!!
内側から曇っちゃってます。










時代を感じるインテリアですねー。
ナルディの定番ステアリングになんか古臭いオーディオ。
エアコンの操作盤なんかも凝ってるけどちょっと古めかしいwww
3連メーターはスポーティな感じでいいですねー♪








天下のゲトラグミッションです。
横置きV型エンジンの横にちょこんと置いてあるFF系のトランスミッションです。まぁ4WDなのでここにさらにトランスファもつくわけですが。
まるで知恵の輪のようにドライブシャフトとプロペラシャフトが立体的に交差する不思議な光景がそこにあります。
素直にFRベースで作ればいいのにね。








写真がさかさまですがタービンです。右側にはアクチュエーターが見えますね。随分デカいアクチュエーターだなー。と、お思いの方察しがいいです。
3リッターV型6気筒ハイパワーツインターボなら容易にビッグタービンが2基と想像がつきそうなもんですが、GTOのタービンは小さいです。
え!?ターボちっちゃwwwなにこれカワイイww
ってぐらい小さいです。風量足りるのか心配になるほどですが、これが低速域からグングンパワーが上がってくる秘訣なのだと思います。
ただし小さめに見えても熱はスゴいっすw

今回はターボは壊れてませんでした。何かタービンだけやたらキレイだし、もしかしたらリビルト品かも??









さて。。。ここからが本題です。GTOの真の姿がここに。。。

コレなーんだwwww


正解は触媒でしたーw
ひどく錆びてますね。。。
ボルトがとれるか心配です。

プロテクターのネジが朽ちて折れているので車検不適合ww




お次です。
はいマフラーのリアピース。かっこよく言うとエキゾーストテールフィニッシャーパイプ(笑)
排気効率重視でしょうか・・・?排気ガスの流速を上げる為の穴なのでしょうか!?
そうなのでしょう!

はいw車検不適合w





画像左っぱしのでっかいラジエーターみたいなのとJ型に走っている黒いパイプがインタークーラーとそのパイプ。
そんで手前のちっこいラジエーターみたいなのが純正オイルクーラー。
どちらもあまりいい状態ではないですね。。。穴空くと大変っ!対処しましょう。










メンバーサポート等もヒドい錆び具合。
ミッションやエンジン下部のアルミ部分も白色のまだらになっているのは腐食しているからです。
これは確実に・・・アレですな。塩害というやつです。

聞けば出ドコは青森県
なるほど雪国ゆえ4WDでなおかつ雪上を走るがゆえの塩害というわけです。













ロアアームも錆びがひどい。
ブレーキ裏のバックプレートなんかもう外に放置したドラム缶みたいに錆び尽くしてますw
このままほったらかせば朽ちて折れてしまう。。。







それからエアコンが効きません。
原因は???
とりあえずこちらも何とかせねばなりませぬ。。。




お客さん(というかばろんの友人)からの指令もたくさんあります。
1.下取りの車からナビ、オーディオ、レーダー等を移植
2.マフラーはどうせなら社外マフラー
3.触媒ストレート(却下www)
4.車高調の装着
5.純正3連メーターを取外し、その場所に水温・油温・油圧の各追加メーターをインストール
6.外装の磨き
7.ヘッドライトの曇り取り
8.ハイビームロービーム共にディスチャージ化

その他こまかいところがモロモロ


そんで社長からの指令はこちら
1.エンジン悪いとこ直して
2.タイミングベルト+カム&クランクオイルシールの漏れ確認
3.トランスミッション壊れてないか(GTOは以前お客に売った中で売って一月ぐらいでミッションブローして泣かされたそう)
4.クラッチ大丈夫かww
5.ボディ&足まわり&各鉄製部品の錆びへの対処。ついでに錆びのひどいボルトナットを新品に
6.エアコン不調の原因を探れっ

こんなところでしょうか。
いやー今回も大変な長丁場になりそうですー(・ε・)
楽しいですねぇー(変態)



まずはエンジン降ろすとこからはじめていきまーす♪
これでフロントのメンバー・足廻りも一緒に外れます。
ボルトやらナットをガンガン外していきたいとこですが、塩害の影響はかなり根深く、緩めたらちょっと締め、また緩めたらちょっと締めをひたすら繰り返してボルトやナットを外していきます。ネジ山部分まで錆びついたボルトを一気に緩めようとするとネジ山にボロボロとサビが噛みこんでしまって隙間が埋まってしまいます。それを無理やり道具で回そうとしてもネジ山が回転する事は100%ありません。ボルトの頭がねじ切れるだけです。ちょっと緩めてからちょっと戻す事でネジ山の中にわずかな空間を作ってやる事で少しずつネジは緩みます。

そんな事を足廻りの部品を外す際にほとんどのボルトナットでやっていたのでエンジンを降ろすだけで日がくれます。
ちなみにGTOの整備性ですが、要は慣れ次第って感じですね。

どんなにやり込んだエンジンでも外しにくいトコロは外しにくいとしか言いようがないニッサンの設計とは違い、取り外しや取付に時間がかかったり無駄に取外し部品の点数が多いだけで比較的誰でも手順さえ追えればイジれるようにしている。といった感じがします。道具も入りやすいように作られていて設計者の親切心が伝わってきますね。

同時に、部品の折り重なりが多いので、ひとたび組みつけの手順を間違えると「あー、こっちのパイプ先につけなきゃブラケットをこの上からは取り付けられないのかー。またバラさなきゃー」といった局面が多く、せまいエンジンルームの中で試行錯誤した設計者達の努力もかいま見えます。

ニッサンの「どうやったらこんなトコに道具突っ込めるっていうんだ!!」みたいな事はないです!
三菱はただただ手間がかかります!しかも錆びてるからなおさら!


足廻りのボルトは大きめのサイズの物が多いのでインパクトがあれば何とかなる部分もありましたが、マフラーだけはそうはいきません。


もうホントどの車も古くなってくると仕方ないのですが、マフラーのボルトは常に高温にさらされているため酸化の速度が早く、錆びまくってボロボロ。
ちょっとメガネレンチかけてやると「ズルリ」
経験した方ならわかるあのいやーーーーーーーーな感覚。材料の強度がサビによって極端に落ちますのですぐに頭のカドが舐めてしまいます。


あっためると緩みやすくなるとかいう迷信のような都市伝説のような話を聞いた事がありますがホントかどうか試してやろうじゃあありませんか!!
どうせお手上げ状態なんでダウジングでも都市伝説でも試せる技は試してやろうじゃねーかー!!

というわけでガストーチを購入♪



緩められなかったボルトを魔女狩りの如く火あぶりにします。
真っ赤など手ぬるい!ボルトが赤から白っぽく変わってくるまでガンガンと火を浴びせ続けます。

そしてアッチアチの状態で一気にメガネで「えいっ」




おおおーーーーーー

マジで緩みましたwwwww
熱膨張という原理らしいです。
ナットが熱で膨張し、ボルトとの間に膨張した分空間ができ、緩みやすくなるという事です。

ここで一つ気になる事があるでしょう?
写真のようにナットを熱しているのは良いですが、同時にボルトも確実にアッツアツになってますよね?
って事はボルトも膨張してんじゃねーの??意味ないんじゃねーの?
って事に気づいたアナタは素晴らしい。
んで、その疑問に答えれるアナタがいたらもうノーベル賞あげちゃう(笑)

そうなんです。
ナットを熱すればナットは膨張します。
ですが、同時にボルトも結果的に膨張します。
が、しかし、ナットの方がわずかに大きめに膨張するのです(!?)

なぜか??
それはナットのメネジの方がボルトのネジ山よりわずかに径が大きいからです。
「ナット(金属)の径(長さ)」は「温度の上昇」と「元の径(長さ)」に比例して長くなります。
熱膨張係数というやつです。計算で求められますね。

ナットは理論上ボルトにかみ合う時、ボルトよりわずかに大きい事が前提になります。
ってワケでナットのがボルトよりちょびっと大きめに広がるんですな♪

いやーすごい。これには感服しました。
もうガストーチが手放せなくなりました。危なそうなボルトはすべてこれで今まで外せてます。


ま、そんなこんなの工夫もしつつサクっとエンジンを降ろしていきましたーん♪



ドライブシャフトの出ている位置を見ていただければわかりますが、こんなにデカいエンジンのくせにホントに横置きなんですよねー。
それにしてもヒドいサビー。




タイミングカバーご開帳〜♪
ベルトは変わってますー。
アイドラプーリーもキレイだし音も出てないのでこのままいきますー。
オイルシールからの漏れもないしウォーターポンプも交換されてます。手入れは意外と行き届いてる!?







えぇー・・・
クランクプーリーもご開帳(死)
一体成型ではなく、この割れたところにはダンパーが挟みこんであり、エンジンのショックをオルタネータなどに伝わらないようにどのメーカーもこういうクランクプーリーなんです。
ただしコレはダンパーゴムがちぎれてパックリの図www
バッテリーのチェックランプもついていなかったので外すまで気が付きませんでした。このままではエアコンかオルタネータが動かなくなるので当然交換です。
GTOには多い故障。ミニクーパーもよくこの症状が起きるみたいですね。

28300円ぐらいしました(泣)




クラッチディスク&カバーです。
お客人いわく強化クラッチに交換するとかしないとか言っていましたが、とりあえず予算の都合でエクセディの純正交換タイプにw



ゲトラグ製トランスミッションです。
ケース中央のメインシャフトとは別に右下にも変なシャフトが見えますでしょうか?
これは4WDゆえ。トランスファに繋がるシャフトでございます。

なんか知らんけどケースがベチョベチョ(多分クーラント)ですのでキレイに洗浄しておきました。








はいキレーイ♪




エンジンとミッションがキレイになったところでとりあえずひと安心♪





エンジンとミッションが降りてがらん胴になっている間にフロントのボディのサビ対策に取り掛かって行きます。




ヒドいサビですねー。
ボディが朽ちると車自体が使い物にならないのでここでギリギリ食い止めておきたいと思います。
そこで登場するのがコチラ♪




その名もサビキラー(笑)

しかもPROとの事w
アマが使うかーいwこんなマニアックなもんwww

名前は完全にふざけてますが、金属にとって大敵なのは錆び。中でも機械的強度を極端に損なってしまう(もろくなってしまう)赤錆び。
指で触るだけでボロボロと崩れてしまうような錆びですね。
同じ錆びでも機械的強度が赤サビに比べて抜群にいいのが黒錆びという錆びです。
黒錆びは鉄の酸化物ではあるんですが、四酸化三鉄というらしいです。

金属は表面に酸化物を纏う事で内部を錆びから守ります。ですが赤錆びはボロボロなので表面に酸化皮膜って事にはならないわけです。
変わって黒錆びはというと、ガッチリとした強度で皮膜を形成する為、内部が錆びに侵される事を防ぐみたいです。


黒錆びの代表例が「中華鍋」。なるほど。表面がボコボコしてますもんね。あれは内部の鉄が錆びるのを防いでいるそうです。

それと同じ状態をGTOにも再現します。それがこの赤錆び→黒錆び変換剤のサビキラーというわけです!
既存の赤錆びを化学変化によって黒錆びに変換し、強度の確保と同時に赤錆びの侵食を防ぎます。

シャシーブラックでは赤錆びは防ぐ事はできません。赤錆びはシャシーブラックで覆ってもシャシーブラックの内部でどんどん侵食を続け、やがてシャシーブラックの上に赤い斑点がポツポツと。。。という事になります。
シャシーブラックを塗る前の下地処理がしっかりできていれば錆びる事はありましぇん!たぶん!


この錆び変換塗料を錆びている部分にしっかりと塗って、乾かしてからシャシーブラックです。




このように!!






メンバーもこのように!!






ナックルやらサブメンバーもこのように!!






腹下もこのように!!






ついでにリアのメンバーも足廻りと一緒にごっそり降ろします。リアデフもかなり汚いみたいなのでw




ずどーん と落とします。




きたねぇえええええええええええええええええええええええ



まるで一見何の変哲もない古い屋敷とかそんな感じのレベルで錆びてるwwwww

スタビなんかボキっといきそうですよねー。
これをワイヤーブラシ(金属のブラシ)でゴシゴシ錆びを落としてからサビキラーです(・ε・)/



サビキラー塗布後。
シルバーでNISMOっぽくてかっこいい?まぁ三菱ですけど。
このままでもいいみたいですが、シャシーブラックは念押しで吹き付けます。



そんでふと上を見上げると・・・?





うわーwwww
こっちもきたねぇぇぇ・・・






リアメンバーを外していないと塗る事のできないボディ下部。アンダーボディを腹下といいますのでここは下腹部とでも言えば良いのでしょうか(げへへ)
燃料タンクにもサビがありましたのでしっかりと塗っていきます。
もちろん乾燥後、シャシーブラックです。
もう鼻の穴までまっくろです。



そうそう。リアメンバー降ろしてるうちに車高調も付けておこう。
しかし。。GTOの純正リアショックは抜けているのに抜けないというわけのわからん状態に。。。




えー、詳しい写真はありませんが、こちらが純正ショックの末路です。
GTOの足を交換した方ならおわかりかと思います。
ほんっとにショックがメンバーから外れない。ショックのブッシュの内側のカラーがメンバーのサス取付部と完全に癒着状態。


ショックアブソーバー「僕達愛し合っているんだ。三菱自動車組み付けラインから何10年もずっと一緒なんだ。」

とかなんとか言ってメンバーから離れようとしないのでハンマーで殴ったりしましたが離れる気配もなく。。。
このようにグラインダーでバラバラにw

メンバーの取り付け部にはグラインダーを当てる事なく(ほんとはちょっと削っちゃったケド)ショックを取外すことに成功。




代わりに若くてダンパーの抜けもないかっこいい(中古の)ダンパーを装着します。

で、ボディとメンバーをドッキング♪




フロントも同じく車高調を装着!
スカイラインで見た事あるような形したブレーキに若干の不安を抱きつつ(効きが悪くなりやすい)
ちゃっかりエンジンもドッキング済みです。
社外のマフラーも付けましたが写真撮り忘れました。

ミッションオイル、エンジンオイル、デフオイル、クーラントやら全て交換し、バッテリーも新品。
燃料フィルターも古そうだったのでこの際交換しておきました。

あーようやく終わったー!
完成だー!!


って、まだヘッドライトがあったか。。。。





後編へ続く・・・








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