所さんのピロテン(笑)




今回は足回りのちょっと敷居の高いトコ(お値段的な意味で)
調整式ピロテンションロッドのお話です。
あ、今回の日記はかなり長いですw



ちなみに題名とピロテンはまったく関係ないです(笑)
別にウマい事言ったとか思ってねぇし!(`・ω・´)

今回の作業は日曜出勤で時間がたっぷりあったのでピロテンションロッドの写真をたくさん撮りながらの作業になりました。


今までの日記から察していただけばわかりますが、最近はめっきり走りに行く機会が減りました(山は特に寒いのでwww)
そんなこんなでオーディオいじりばっかりしてたのですが、スピーカーの配線を求めてアップガレージへ行った時の事でした。

転がってたんですよアップガレージ岡崎宇頭店に!たまたま中古のMR2用のピロテンションロッドがっ!


うわー!それ俺が買おうと思ってたのに・・・。お前かぁ〜!( ゚д゚ )


って人が居たらすみません。買っちゃいました♪えへへ
というわけでその週の日曜日がたまたま出勤だったので誰も居ない工場でやりたい放題やらせてもらいました。
レッツ、交換♪


っていうかそもそも、そのテンションロッドってなんやねーん!って人がいると思いますが、これからなんとなく説明していきます。



とりあえず足回りの部品になるのでジャッキアップしないとですね。
まずはどちらのご家庭にも必ずあるこちらのリフトでクルマを整備しやすい位置に。




フロントのアンダーカバーを脱がします(イヤ〜ン♪)
大胆かつ優しく、ときおりタイヤなどを指でゆっくりなぞったりしながらアンダーカバーを脱がします。






フロント右(運転席側)の足回りが見えてきます。
図のようにテンションロッドとはロアアームが水平方向にグラグラしないように突っ張ってる棒のことです。
突っ張る(テンションをかけてる)棒(ロッド)だからテンションロッドというんですな。

これを今回強化品のロッドに交換していきます。







MR2の場合、というかほとんどの車種がそうだと思うけど、いきなりテンションロッドの取り外しにかかります。
これまたどこのご家庭にも必ず1つはあるインパクトドライバーでビュンビュ〜ンと外していきましょう。
ロアアーム側のナット2個は17mm、ブッシュ側のボルトは19mmのソケットを使います。

  



ここまで抜けてるのに、どうやってもボルトがこっから抜けてこない!という人は
ブッシュをプラハンでコンコン叩くなりしてボディ取り付け穴とブッシュの穴の位置を合わせてやればスルリと取れますよ。
画像見てわかるようにボルトが斜めになってるとぜんぜん抜けてきません。

ながーいボルトが抜けたらテンションロッド本体を取り外していきます。


次にロアアーム側のボルト2本を抜きます。
プラハンでコンコンすれば意外とあっさり抜けるもんです。

ブッシュをあらかじめ少し上へ叩いてずらしといてやるとスムーズに事が運びます。


ここを少し叩いてから



ここを叩く。と。





ロアアーム側のボルトが抜けたらブッシュとボディの間にバールをかませてテコの原理でこじってやるとポロリンとテンションロッドが外れます。
下の画像は先にこっち外そうとして失敗した時の物ですが、せっかく写真撮ったし使っとこうと思って(笑)





外れた純正ロッドと強化品の比較です。
青いほうが今回購入したクスコのピロボールテンションロッド。

大きな違いは長さがターンバックル調整式になっている点と、ブッシュからピロボールになっている点です。

純正ブッシュは当然圧入されただけのゴムなのでグニャグニャするのに対し、ピロボールは上下左右に可動する金属のボールなのでブッシュの代わりに使う事で
足回りの動きがカッチリした物になります。ピロテンションは主にステアリングの動きがダイレクトになります。

ターンバックル調整式である理由はホイールベースの微調整とキャスター角の調整にあります。
ホイールベース、キャスター角については後述しますが、アライメントの調整の幅がさらに増える事になります。


まずはブッシュのセンターと、ロアアーム側のボルトを基準にピロテンションロッドを純正のロッドの長さにあわせます。
えみちゃんは3型なので395mmです。これが絶対的な基準の長さになるので覚えておかないと後悔しますw

この時、長さの調整はアジャストロッド(真ん中の青いの)を回して調整します。ピロボール単体や、ロアアーム側だけを単独で回して調整した場合、強度が落ちます。
なぜ片方だけで長さを調整すると強度が落ちるかは言わなくてもわかると思いますが。


純正とほぼ同じ長さになったピロテンをクルマに取り付けていきます。
さっきとは逆の手順でいきましょう。ここは少々強引に押し込んでいかないと入りません。
鉄ハンだとアルミのカラーがかわいそうなので必ずプラハンで作業してください。無い人は買いましょう。
高いロッドを大事にしたいなら安いプラハンを買う事ぐらい惜しまないで下さい。
それでも鉄ハンで作業する人がいるならクルマをイジる資格はないでしょう。整備士も整備士じゃない人でも大事なのは適切な道具選びです。




ハマったらプラハンで優しく叩きつつ、穴の位置を合わせます。
位置が合わないとボルトは絶対通りません。
手前が通ったら今度は反対側の溶接されたナットの穴に合うようにコンコンと叩いて調整しながらボルトをナットに喰わせます。
ボルトは手でしめれるトコまでしめていきます。





今度はロアアームとピロテンションを繋ぎます。
テンションロッドがついてない状態のロアアームは水平方向にグラグラ動くのでこれを利用します。

ボルトを赤矢印の方向に指で強くグリグリ押しながら、ロアアームをプラハンでガンガン殴ります。
振動で穴にボルトがハマってスルスルとボルトが穴を通ります。
どうしても穴にボルトが入らないという時はアジャストバーを回してロッド長を変えましょう。




この要領でロアアーム側2本のボルトが通ったらナットを食わせて、しっかり締めていきます。
手締めでトルクを測ればなお良いでしょう。
同時にピロ側のボルトも本締めしま・・・せん。まだやる事があります。




ボディ側のブラケットとピロボールを図のようにまっすぐに合わせます。
可動域を最大限に活かす為と、通常時に余計なストレスをピロボールに掛けない為の措置です。
これをしっかりやっとかないと可動域を超えた当たりから挙動が不自然になる原因になります。
大体でいいんですけどね。大体まっすぐです(笑)




ピロボールがまっすぐになったらアジャストバーを固定する為の左右のロックナットを締め付けていきます。
これで普通は完成なのですが、アジャストバーは回転させる事により、テンションロッドの全長を変える事ができます。
調整したい時は基準の長さ(SW20の3型では395mm)から+10mmとか-10mmとかとにかく基準から考えます。



ここでようやくこの調整式ピロテンションロッドの真骨頂です。
ここまで来てようやく、キャスターとホイールベースを微調整できます。








キャスター角とは下の図をみてもらえば何となくイメージつかめると思いますが、
ホイールの中心から垂直線を引き、サスペンションを貫く線(厳密にはホイールが取り付けられている軸)を引くと、ホイールのど真ん中の中心点で交わります。

交差点等ハンドルを大きく切ってからハンドルから手を放すと、シュルシュルとセンターにハンドルが戻るという現象。なぜこれが起きているかというと、まさにこのキャスター角の影響なのです。
キャスター角はハンドルの復元力(タイヤをニュートラルに戻してまっすぐ走ろうとする力)に作用するという事です。
これにはキャスター角よりむしろ力学的に説明するには下の接地面の方にあるキャスタートレールという角度が重要だそうで、この角度によってタイヤが内側に引っ張られる力が生まれるそうです。
キャスター角を大きくとるとトレールによってさらにタイヤを内側に引っ張る力が増すので直進安定性が増します。ただし、センターに戻そうとする力が強くなるという事はつまりハンドルが重くなるという事です。
えみちゃんはハンドルの安定性が恐ろしく低いので少しキャスター角つけたいですな。もともとステアリングが重いってのはユーザーなら諦めているところだしこれ以上重くなったって「仕方ない・・・」とさらに諦められますwwww





キャスター角のキャスターとは宅急便の人とかが荷物を運ぶときに使うコロコロ付きの台車のキャスターの事です。
キャスター角がついている事により、台車の車輪はくるくる回ったり、フラフラとあっち向いたりこっち向いたりする事なく、まっすぐ転がってくれるそうです。
自転車にももちろんキャスター角がついているので、両手放しで運転してもチャリンコはまっすぐ進んでくれるわけですな♪

説明合ってる??

つかキャスターにこんな角度ついてたっけ?今度見てみよう。






さて、テンションロッドの話に戻ります。

これは大げさに表現してますが、仮に基準値395mmよりもテンションロッドを短く調整したとします。こんなには短くなんねぇ(´・ω・`)
そうするとキャスター角は増します。図とは反対にロッドを長くするとキャスター角は減ります。
車種ごとにキャスターにも当然適正な角度があるので、車高が変わったりした時は4輪アライメント測定などで基準値に調整してもらえるみたいです。無論調整式の場合のみですが。

あ、そうそう。もう一つの要素。
この図をもう一度よく見てください。
ホイールが随分前に来てるのお気づきですか?まぁこれは編集してるんですがw

そう。テンションロッドが短くなった事によって、ロアアームごと足回り全体を前よりに引っ張っている事によってホイールベースを調整できるんです。
ホイールベースってのは前タイヤと後ろタイヤの距離で、広ければ広いほどコーナリング時に車が安定します。反対に小回りが効かなくなる欠点もあります。

ばろんは今回5mmだけ短くして、ホイールベースをすこーしだけ長くとりました。だってMR2の安定感の無さったらないんですもの!
直進安定性アップ+ロングホイールベース化、おまけにゴムブッシュがピロになった事でステアリングのダイレクト感アップ。
まさに一石三鳥なナイスな部品だと思います。




調整も終わって、無事に取付完了!ロックナットを締めるのを忘れずに!

交換してから街乗りでもハッキリとわかるほどのダイレクト感は素晴らしいの一言。
いやーテンションロッドって大事!

SW20はどちらかというとハンドリングはダル。
そもそもミッドシップでハンドリングがクイック過ぎると大衆車として成り立たないぐらい神経質な車になるそうで、
ド下手クソが運転しても大丈夫なようにトヨタさんが調整してるようです。
これはトヨタに限った事でなく、ホンダのNSXなんかも一般人が普通に乗れるように純正ではあまり過激な仕様にはなっていないご様子。

ばろんも立派な一般人ですが、車高調を付けた辺りからでしょうか、さすがにここまでダルなハンドリングだとは思いもしませんでした。
仕事上色んな車に乗りますが、インプレッサやGT-R、シルビアS15からDC5インテグラ。どれに乗ってもとてもクイックで気持ちの良いハンドリングでした。
クッとステアを切ればクッと曲がるって感じでしょうかねぇ。
えみちゃんはというと、どっちかっていうとクッとステアを切ったあと、一呼吸置いてから曲がり始めるといった印象でした。

スポーツカーの域を飛び越えて、このダルなステアリングフィールはデミオにも劣ると思います。
ミッドシップで気難しい子かと思いきや、意外とのんびり屋な面もあるえみちゃん。まぁそんなところもまたかわいいんですが♪(ダメだこりゃ)


ダルなステアリングにうんざりしているSW20ユーザーはぜひともピロテンションロッドへの交換をおすすめします。
カチっとしたフィーリングになってステアリングの入力をダイレクトに反映してくれるようになります。

とりあえず、これでフロントの足回りは一通り強化品に。
後はリアのコントロールアームのブッシュを交換すれば晴れて4輪アライメントに臨めます。












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